イチョウの知らせ
春はもちろんサクラ、
秋はイチョウ?
金木犀の香りが過ぎ去ってから、
ふた月ほど。久しぶりに訪れた場所で、
秋はイチョウということを納得させられた。
少しばかり鼻を抑えたくなる香りが、
今度は足元から。
パリッでもない、
グシャでもない、
バリッとした足の感覚。
イチョウの葉に紛れて、落ちている実を踏んでしまうのは、どこか申し訳ない気持ちになる。
それはきっと、
踏まれる今日の日までどんな風に、
過ごしてきたかを何となく想像できるから。
イチョウはコントロール出来ない。
そこに立っている限り、避けることの出来ない、
自然の力を。
毎年、落ちて踏まれてしまうという、
運命もイチョウには変えられない。
ただ一つ望みがあるとしたら、
歩く先が、踏み出す1歩が変わること。
歩く方向が変われば、
少しばかりでも、何かを変えることができる。
秋はイチョウの道しるべ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?