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「やっぱりなぁ、須藤。お前は大学進学した方がいいんじゃないかと先生は思うんだ」 須藤はうつむいたまま、机の一点をみつめて固まってしまった。 この須藤涼太という生徒ときちんと話すのは初めてだ。 私は今年度、高校二年生のクラス担任となった。 来年度に大学受験を迎える高二の春のこの時期に、受け持つクラスの生徒全員と、放課後を利用して二者面談を進めている。だが、須藤との話し合いは平行線をたどっていた。 「先生、俺どうしてもトリマーになりたいんです」 須藤がはっきりと宣言