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捜査一課刑事山村陽介の事件簿プロローグ

無線「ザー…ザー…警視庁より各局へ…連続窃盗犯の主犯と思われる男がいるアジトを発見、近くを巡回の刑事で近くにいるものは直ちに現場に迎え…繰り返す…警視より各局…」
その無線を聞いて1人の男が捜査一課の部屋から飛び出した。
山村「さてと、行くか。おい、飛鳥!行くぞ!」
飛鳥「もう!待ってよ!」

男の名は山村陽介。警視庁捜査一課所属の刑事であり、趣味なんてものはこれといってなかった。しかし最近彼はとあるアイドルグループを陰ながらに応援しているのだがそれはまた別の機会に話すとしよう。そんな山村は相棒である捜査一課の刑事、齋藤飛鳥と共に警視庁から出ようとしたがそんな山村を呼び止める人物がいた。
?「あ、山村さん、山村さん!」
山村「ん?どうした、与田?」
飛鳥「よだっちょ。」
与田「あの…山村さんにどうしてもお話したいって人から連絡が来てるんですけど…」

山村「え?誰?」
与田「ひかるさんという女性なんですけど…」
山村「はあ…マジか…このタイミングでかけんなよ。」
飛鳥「出てあげたら?幼なじみなんでしょ?」
飛鳥の言う通り山村に話があるために警視庁に連絡をいれたひかるという人物は山村の幼なじみだった。そしてその事を知っている飛鳥は山村に電話に出ることを告げるが事件の方を優先したかった山村は与田に頼むのだった。
山村「与田、その電話またかけ直すように頼んでおいてくれ。俺の携帯にな。」
与田「わ、分かりました!」
山村「行くぞ、飛鳥。」
飛鳥「分かったから…行ってくるね、よだっちょ。」
与田「おふたりとも気をつけて!」
そう告げた与田に2人は手を挙げながら外に出ると何故か人だかりが出来ていた。その理由は山村が操作するためにわざわざ買った車、日産レパードがそこにいたからだった。そしてその人だかりをどかすために山村は叫んだ。
山村「ったく…俺の車は見せ物じゃないんだよ!どけ!」
飛鳥「すいません、撮影はやめてください。本当にやめてください!」

飛鳥が必死に野次馬に説明しながら山村と共にレパードに乗り込むと飛鳥は助手席で山村に聞いた。
飛鳥「ねぇ、なんでいつもこの車なの?いい加減に乗り換えたら?」
山村「いや、無理だな。」
飛鳥「無理って何よ?」
山村「こいつはな、俺が小さい頃に初めて見た刑事ドラマで乗っていた車なんだ。だからそう簡単に乗り換える訳にはいかないんだ。」
山村は昔、両親が見ていた刑事ドラマが好きだった。舞台は横浜でダンディーな刑事とセクシーな刑事が横浜を舞台に大暴れする内容で走りながら犯人を追い掛け、ジャンプしながら銃を撃ったりバイクに乗りながら手を離してノーハンドル状態からショットガンを撃つ。そんな刑事ドラマを見て山村は刑事に憧れた。その後はレインボーブリッジを封鎖しようとした湾岸署の刑事や警視庁の窓際部署で事件を解決する刑事など様々なドラマを見て来た。そして山村は刑事になり1つの結論に辿り着いた。ドラマのように捜査一課になるには楽では無いと。それでも諦めずに必死の努力で山村は今の位置に辿り着いた。例えかつてその身に傷を負いながら助けた幼なじみに少しだけ距離を置いたとしても。
山村「こちら山村、まもなく現場に到着します。」
無線「了解。なお犯人はアジトに武器を隠している模様。繰り返す…犯人はアジトに武器を隠している模様。」
山村「了解。ったく…ふざけやがって!」
そう告げて山村はレパードのアクセルを踏みながら無線で周囲に警告する。
山村「緊急車両通ります!道を開けてください!」
そして山村は急いで現場に向かうのだった。

山村「こちら山村、現着。」
無線「了解」
山村「飛鳥、お前は犯人がどこにいるか教えろ。無駄にお前が戦う必要は無いからな。怪我させたくないし。」
飛鳥「分かってるから。行くよ!」
そして2人はアジトに突入した。
山村「飛鳥、いたか?」
飛鳥「ううん。ん?あそこ!」
飛鳥が指を指した方向を見た山村は逃げようと走り出した男を見つけた。
山村「止まれ!警察だ!飛鳥、お前はここにいろ!」
飛鳥「うん!」
そして飛鳥の頭を撫でながら山村は男が逃げた方向に走り出したのだった。
山村「止まれ、警察だ。」
男「待ってくれよ。悪気はなかったんだ。」
山村「なら大人しく捕まるんだな。」
男「それは嫌だ!」
そう告げて振り向いた男は鉄パイプを振り下ろすがそれを回避した山村は戦闘の準備に入った。
山村「来い。」
そして挑発するかのように手招きすると男は再び鉄パイプを振り下ろしたが山村は再びかわした。
男「な、何?」
山村「おい、警察なめんなよ。」
そして山村は男に急接近すると強烈なパンチとキックを放ち、男が怯んだ所で山村は男を一本背負いで放り投げた。
男「グハッ!」
山村「窃盗ならびに公務執行妨害で逮捕する!」
そして男を逮捕した山村は男に手錠をかけて飛鳥が待つアジトの1階に降りた。
山村「待たせたな、飛鳥。」
飛鳥「うん。でもこの前よりかは待つ時間短かったかも。」
山村「そうか。なら警視庁に帰るか。」
飛鳥「うん。」
そして2人は再びレパードに乗り込んで警視庁に帰り男の身柄を引き渡した。それから数十分後、捜査一課の部屋にいるはずの山村が居ないことに異変を感じた飛鳥はあの人達に聞いた。
飛鳥「あれ?陽介、どこに行ったんだろう?」
日村「どうした?飛鳥ちゃん?」

飛鳥「日村さん。陽介、見ませんでした?」
日村「山村か。あいつどこに行ったんだ?トイレとかにいるんじゃないのか?」
澤部「そんな訳ないでしょ!そういえば販売機の所でコーヒーかなんか買おうとしてたよ?」

飛鳥「販売機…ありがとうございます!」
土田「ダメだよ、澤部さん。嘘教えちゃ。」

澤部「土田さん、嘘じゃないですって!」
飛鳥「澤部さん、嘘教えたんですか?酷い…」
澤部「ほら!せっかく頼った後輩に変なイメージつけるその悪い癖!あんた、いつもそうだ!」
?「騒々しいな、澤部。静かにしなさい!」
澤部「うるさいな、黙れよ!」
設楽「澤部、誰にうるさいって言ってんだ?」

澤部「し、設楽課長…」
設楽「お前なんかさ…一発で左遷する事も出来るからな?」
澤部「は、はい…」
設楽「なんてな。冗談だよ、冗談!それで飛鳥ちゃん、陽介の居場所知りたいんだっけ?」
飛鳥「はい。」
設楽「あいつならエレベーターで屋上に向かったから黄昏ながらコーヒー飲んでるかもよ?」
飛鳥「ありがとうございます、課長!」
設楽「ああ、若いっていいな。青春だね。」
日村「課長、山村の幼なじみって確か…」
設楽「ああ、陽介が高校生の時、同級生から守るためにナイフで刺されながらも陽介が助ける為に戦ったあの時の子だ。当時はニュースにもなったからな…なにか厄介な事が起きなきゃいいけど…」
飛鳥は捜査一課の先輩達や設楽課長からの情報で山村がいる屋上に向かうのだった。しかし、そこでは山村が誰かと電話していた。
飛鳥「陽介…」
山村「もしもし、ひかるか?警視庁に連絡するなってあれ程言ったろ?」
ひかる📞「だって陽ちゃんがひぃを無視するからでしょ?」
山村「無視じゃないだろ!ひかる、お前は自分の立場を考えなさい。いいか、お前はアイドルで俺は刑事なんだ。そんな簡単に会ったり出来ないんだから仕方ないだろ?」
ひかる📞「それはそうだけど…」
山村「分かった!次の休み、一緒に出かけてやるよ。それならどうだ?」
ひかる📞「本当に?」
山村「ああ、本当に。」
ひかる📞「ヤッター!」
山村「喜んでくれて何よりだよ。ほら、明日も早いんだからもう寝ろよ?」
ひかる📞「うん。陽ちゃんも頑張ってね!」
山村「ああ、おやすみ。」
ひかる📞「おやすみ!」
その電話を遠くから全て見ていた飛鳥はポツリと呟くと屋上から消えた。
飛鳥「やっぱり幼なじみが強いか…。飛鳥ちゃんにはチャンスは無いのかな…陽介…」
一方、そんな事を飛鳥が話しているとも知らなかった山村は屋上でコーヒーを飲みながら黄昏ていた。だがこの時、山村は知る由もなかった。幼なじみを…いや、幼なじみとアイドルグループを助けるために史上最悪の事件に巻き込まれる事になるとは。
to be continued…




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