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夢見るそれいゆ 6

放課後、ちなっちゃんと校門で別れ、私はバスには乗らずに八幡宮に向かった。
大通りを一本奥に入ると、八幡宮をすぐ見つける事が出来た。

八幡宮の入口の鳥居をくぐると、空気感が途端に変わった。
紫陽花が咲いてないかわりに、桜が満開だった。
木々から漏れる陽の光が綺麗で、鳥の歌が聞こえてくる。
こういう場所だったら、精霊も住んでいるに違いない。

せっかく神社に来たので、私はお参りする事にした。

手水舎で手を浄めて随神門をくぐり、拝殿の前に私は立った。
若い頃の夏越クンも、お参りしたはずだ。

【ずっと一緒にいられますように】
その願いは二人を引き裂いた。
まだ彼女の生まれ変わりは見つからない。

私はお賽銭をそっと入れ、夏越クンと彼女の再会を神様に願った。

拝殿の横に、ひときわ美しい桜が咲いていた。
そこに着物姿の男の子が微笑んで立っていた。
「──こんにちは。」
もしかして、桜の精霊だろうか?

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