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紫陽花の季節、君はいない 45

「痛っ!何すんだよ!」
俺はデコピンを食らった理由が分からなかった。
「夏越のど阿呆!こういう物は、本人に直に渡すものだろうがっ!」
柊司が珍しく激昂している。だけど俺だって言い分がある。

「あおいさんはお前の嫁だろ?ダンナであるお前が受け取るのが筋だろ!」
「ハァ?隣の部屋に住んでるんだし、1分もあれば渡せるだろ。」
「そう言うことじゃないだろ。俺だって男なんだから、間違いがあったらどうするんだ。」
「何を今更。お前はそういう奴じゃないし、あおいだって俺にベタ惚れだから問題無いだろ。」
普段言い争いなんてしないから、息があがってしまった。

柊司はフーと息を整えて、
「夏越、あおいはお前に遠慮されるのは嫌なんだよ。俺はあおいにプレゼント渡すぐらいで嫉妬なんてしないし、あおいが喜んだ顔を見るのが俺の幸せなんだよ。」
と俺の肩をポンと叩いた。

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