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紫陽花の季節、君はいない 55

柊司がおかしくなってしまったと心配していると、なんとあおいさんも嬉しそうにしているではないか。

「良かったね、柊司くん。私も3…いえ4人で一緒にいられるのが嬉しいわ。」
あおいさんは大きなお腹を撫でた。

「あんなに懐かない猫みたいだった夏越から、一緒にいたいって言ってもらえて…本当夢みたいだ!」
柊司はそう言うと俺をぎゅうとハグした。

「ムギャー!抱きつくな~!」
俺はいきなり抱きつかれて驚いた。
引き剥がそうとしたら、柊司から「ぐすん」という音が聞こえた。泣いているのを見られたくないのか。

「…ごめんな、柊司。お前も俺を心配してくれていたんだよな。
もう勝手にいなくなろうとしないから。」
図体がでかい柊司の背中に腕を回して、俺はポンポンと優しく叩いた。

あおいさんはふふっと笑った。

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