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夢見るそれいゆ 182

「私から告白したのは本当だよ。スルーされたけど。」
更紗先輩が羊司先輩をジロッと見た。
「えー、ひどいですぅ。」
真麻ちゃんが引いている。
羊司先輩が告白をスルーしたなんて、私には信じられなかった。

「あれはタイミングが悪かったんだ…。」
羊司先輩が事の顛末を話し出した。

「中二の冬、俺は放課後一人でスキー宿泊学習のしおりを製本していた。
その時、突然教室に更紗が入ってきて言ったんだ。
『スキーだから、付き合って』って。
俺はスキー宿泊の持ち物の準備の話だと思って『おやつは300円までだから。』って答えた。
そしたら更紗が『羊司の大馬鹿野郎~!!』って号泣して去っていったんだ。」
「よ…羊司先輩、それはもしかして『スキー』じゃなくて…」
恋に鈍感な私でも察しがついた。

「私は、『好きだから、付き合って』って言ったんだよ。私の真剣な告白を、おやつだなんて…。」
更紗先輩はぷくっと頬を膨らませた。
「あの時は本当にごめん。まさか幼なじみから、急に告白されるとは思わなかったから。」
羊司先輩が平謝りした。

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