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夢見るそれいゆ 186

「先輩、連絡入れました。」
「うん、じゃあ家入ろう。ただいま~。」
更紗先輩が建物に入ると、小学高学年ぐらいの男の子が二人走り寄ってきた。一人は坊主頭で眼鏡を掛けていて、もう一人はおかっぱ頭だが、顔はそっくりである。

「おかえりなさい、更紗ちゃん。」
男の子達の声が見事にシンクロした。
「空河(くうが)、海斗(かいと)、ひなに挨拶して。」
更紗先輩が言うと、
「こんにちは~。」
と二人同時に私に挨拶してきた。
「こんにちは。お邪魔します。」
私はペコリと会釈し、建物に入った。

おかっぱ頭の子が、
「はじめまして。僕は更紗ちゃんの弟の海斗。眼鏡の方は双子の兄の空河。お姉さん、可愛いですね。」
と私の手を握ってきた。
「海斗~、ひなに手を出すと國吉に一生恨まれるよ~。」
更紗先輩がにこやかに海斗くんの手を引き剥がした。

「海斗、國吉くんを怒らせたら駄目だよ。それに…女性の手を気安く握ったら失礼だろ!」
空河くんが海斗くんを諭した。
「お姉さん、ごめんなさい。」
海斗くんは私に深々と頭を下げた。

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