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紫陽花の季節、君はいない 78
赤ちゃんが落ち着いたところで、名前会議が始まった。
「二人とも、名前の候補はあるの?」
やはり親の意見は尊重したい。
「私は親しみやすい雰囲気の名前が良いと思うけど…。名前辞典を眺めていたら、逆に迷ってしまって…。
だから私は名前は二人に任せるわ。」
俺と柊司はあおいさんから命名を託された。
「俺は『向日葵』(ひまわり)が良いと思う。
夏生まれだし、あおいが名前につくからな。」
柊司は「向日葵」と筆で書かれた半紙を掲げた。
「墨汁の匂いがすると思ったら、これを書いていたのか…。」
俺は書かれた名前を見つめた。
「俺は違う名前が良いと思う。漢字3文字だと、名前を書くときに負担になるだろう?
それに画数はなるべく少ない方が良い。」
俺は自分の「夏越」という名前がなかなか書けるようにならなかったことを思い出していた。
「じゃあ、夏越はどんな名前が良いんだよ。」
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