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紫陽花の季節、君はいない 69

午前中はあおいさんの代わりに家事をして、一緒に昼食を食べた。
異変が起きたのは、午後3時にお茶の準備をしている時だった。

「あれ、何かお腹が変な感じ…。」
あおいさんは痛がっている様子ではなかったが、産婦人科に連絡してタクシーで病院に向かった。

病院に着いた途端、あおいさんの陣痛が激しくなってきた。
「う~…。」
痛みを我慢しているあおいさんの背中を俺は撫でるぐらいしか出来なかった。

それにしても柊司と連絡がとれないのが腹立たしい。
昨日、柊司に「朝イチでスマホを修理に出せ」って言ったのに。

「…な、な…ごしくん。私の…スマホ。」
あおいさんが俺の腕を強く掴んだ。俺には想像もつかない痛みと戦っているのを感じる。
「あおいさん、スマホがどうしたの?」
俺が問いかけると、あおいさんが「柊司…くんの職場の…番号が入って…る。」と途切れ途切れの言葉で教えてくれた。

あおいさんにスマホのロックを解除してもらって、俺は話すのが辛そうな彼女の代わりに柊司の職場に電話をかけた。

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