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紫陽花の季節、君はいない 75

数日後、あおいさんが生まれた子どもを連れて退院してきた。
俺はさすがに退院当日は疲れているだろうと、会いに行くのを控えていた。

俺のスマホのバイブが鳴った。
柊司からのメールだった。
文字の無い、大量の赤ちゃんの画像に俺は恐怖を覚えた。

「親バカになるとは思ってたけど、これはちょっと怖い…。」
俺がスマホをテーブルに置こうとしたタイミングで、またバイブが連続して鳴った。
柊司からの電話である。

(いつもなら直接うちに来るくせに。
スマホを新しくしたから更にハイになってるな、こいつ。)

電話に出ると柊司が、
「緊急だ!今すぐうちに来い!!」
とひとこと言って電話が切れた。

「…『緊急』って、何だろう。
あおいさんか子どもに何かあったのか?」
俺は心配になって隣の部屋に向かった。

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