一篇の片恋がたり
穂尚 和さんのイラスト「片恋」を元に、ショートショートを書かせていただきました。
和真様。貴方の物語に、私は登場していますか。
貴方はいつも、古本屋で難しい顔をして本を読んでいらっしゃいます。
私は貴方の美しい手から垣間見える背表紙から、貴方の居場所を推測するのが日課になってしまいました。
ある時は独逸、ある時は露西亜、異国ばかりと思わせておいて、源氏物語。今日の貴方の意識は、英吉利の街に滞在しておられるよう。
体は近くにいらっしゃるのに、とてもとても遠いのです。
ああ、その清き顔を上げて、貴方自身の物語に、私の名を刻んでくださいませ。
私の名は美弥。貴方を厚くお慕いしております。
穂尚 和さん、素敵なイラストを使わせていただき、ありがとうございました。
読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。