紫陽花の季節、君はいない 44
柊司のお陰で、俺の料理の腕は(時々失敗するけども)簡単なものなら作れる位に上がった。
生まれ変わった紫陽に、美味しい朝食を振る舞うのもいいなと思っている。
「究極な話、面倒なときは味噌汁に何でも入れてしまえば良いんだよ。肉でも野菜でも。
有名な料理研究家も一汁一菜でも良いって言ってるし。」
それは適当過ぎると思うが、頭の片隅に置いておこう。
ご飯に玉子焼きやウインナー、生野菜サラダ、シンプルでど定番の朝食なのにどれも美味しくて、あっという間に完食した。
「ご馳走さまでした。」
「おう。」
俺も柊司も手が空いた今が、渡すタイミングだ。
「し、柊司。これをあおいさんに渡してくれないか?こないだお前とあおいさんで俺の誕生日にプレゼントくれただろう?1日遅れたけど…あおいさんに『おめでとう』って、伝えてくれないか。」
俺は柊司にプレゼントを差し出した。
ビシッ!
柊司はテーブルから乗り出し、俺にデコピンを食らわせた。
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