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夢見るそれいゆ 169

「もしも國吉先輩と付き合っていたら──」
ちなっちゃんはこんな目にあわなかったのに、と私は言いかけて、ゆかりちゃんに止められた。
「ヒナちゃん、そのifはクニヨシに失礼だよ。
クニヨシの想いは、ヒナちゃんの方にあるんだから。」

ゆかりちゃんに指摘されて、私はかつてのちなっちゃんが私に押し付けたことと同じようなことを言おうとしていたことに愕然とした。

「…そうだね。先輩の気持ちを踏みにじるところだった。」
「──ねぇ、ヒナちゃん。ヒナちゃんはクニヨシのこと嫌いなの?」
ゆかりちゃんに問われ、私はデジャヴを感じた。
以前更紗先輩も同じことを聞かれた。
でも、あの時と今では違う。

「わ…私、分からないの。自分のことなのに。
答えを出そうとすると、心臓がぎゅうっと締め付けられるの。」

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