見出し画像

夢見るそれいゆ 172

2020年6月21日、372年ぶりに夏至と日食が同じ日に起こった。
太陽の力が最大限の夏至の日に、新月の力が食い交わることで、失われた者が再生する為の力が働いたのだと夏越クンから聞いた。

それを聞いた時はとても幼かったので、私はちんぷんかんぷんだった。
でも、今ならその意味が分かる。
紫陽は「失われた者」、つまり精霊として死ぬことで、人間として生まれ変わろうとしたということだ。

「さすがに、八幡宮の皆には反対されたよ。
特に親友の紅葉(クレハ)には。
失敗したら、生まれ変わるどころか魂すら消滅するところだったからね。
でも、紫陽の決意は固かった。
紫陽の願いは八幡神様に受け入れられたの。」
ゆかりちゃんは、出来るだけ紫陽のことを客観的に話そうと努めているようだった。

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。