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2人用AI【毎週ショートショートnote】

毎週ショートショートnoteという企画の、「2人用AI」というお題にチャレンジしてみました。


僕は妻と相談して、5歳くらいの男の子の姿をしたAIを購入した。

初期設定の時、僕と妻をマスターとして登録したから、僕たち2人用のAIである。

はじめの頃は、「おはよう」や「おやすみなさい」ぐらいしか話さなかったけれど、今では流暢に喋る。

「パパは二日酔いなので、しじみのお味噌汁を作ったよ。」

「ママ、お疲れのようなのでお茶をいれたよ。」

まるで子どもの姿をした、執事みたいである。

ある日妻は言った。
「もう少し、子どもらしさがあればね~。」

「子どもらしさ…」
そう言って、AIはフリーズした。

「うちには僕と君しかいないんだから、子どもというものを学習出来ないんだよ。」
「…そうよね。AIに子どもの代わりを求めたらダメよね。」
妻はAIの電源を切った。

数ヶ月後、僕と妻は些細なことで口論になった。
妻が投げた本がAIに当たり、電源が入った。

「パパ、ママ。仲直りして。」
僕たちはAIを抱き締めた。


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