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夢見るそれいゆ 89

玄関のドアが開く音がした。
「ただいま~。」
酔っ払ったパパが帰ってきた。
パパは玄関マットの上に座り込んだ。

「柊司くん、お帰り。夏越くんは?」
ママが聞くと、
「酔い潰してきたから、夏越ん家に送ってった。」
とパパは親指を立ててニンマリした。
酔い潰して「きた」って言い回し、はじめて聞くんだけど…。

「おぅ、ひな。夕飯作るの忘れてすまなかったな。」
パパが頭を下げた。
「パパ、私自分ではじめて炒飯作ったんだよ。塩だと思って砂糖入れちゃったから、甘くなっちゃったけど。」
「すまん、ひな。調味料ケースに砂糖と塩を逆に入れちまったの、俺なんだ。」
さらに頭を下げるパパ。このままでは、悪酔いしてしまいそうだ。

「ママから聞いたよ。ねぇ、頭を上げて。今度、美味しい炒飯の作り方を教えてよ。」
「ん?あぁ、一緒に作ろう。」
ようやく頭を上げてくれた。

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