見出し画像

夢見るそれいゆ 29

「どうしたら、仲直り出来るかな。」
私はぼうっとした頭で考えてみたものの、友達に戻れる気がしなかった。

「ひなたの友達の中で、國吉への執着にけりが付かないと難しいだろうな。
それこそ、ひなたが言うように『ちゃんと國吉と向き合う』とか、『國吉を忘れる位に彼氏を好きになる』とか。」

やっぱり、仲直りは絶望的なのか。

「でも、『どうしたいか』はひなたが決めていいんだよ。
仲直りせずにフェードアウトするのも自由だし、仲直りしたい気持ちを伝えるのもひなたの自由なんだ。」
そう言いながら、夏越クンは私の頭を撫でた。
「夏越クン、大人だね。」
「『どうしたいか』を決められずに後悔したことが多いだけだよ。」

頭を撫でられているうちに、また意識が閉じてきた。
頭がカクンと落ちた。
夏越クンは、そんな私を横たわらせた。
「…なご…しクン、話聞いてくれて…ありがと──」
私は小さい頃のように、夏越クンに見守られながら眠りについた。

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。