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夢見るそれいゆ 73

「『──でも、15年かかったけどさ…紫陽、今はゆかりに再会出来て良かったよ。前世の記憶もちゃんと残ってたし。』
夏越は、吹っ切るような笑顔を浮かべたわ。そうよね、人間の15年は長いもの。」

当時22歳(ほぼ23歳)だった夏越クンも38歳である。仕方ないけど、ゆかりちゃんとの年の差も、親子ほど離れてしまった。

「夏越は、急に話題を変えてきたわ。
『ところで、クレハ。今着ているその服、ひなたが作ったものだろう?お前たち、知り合いだったんだな。』
私は、ギクッとしたわ。思わず、あの男から目を逸らしてしまったわよ。
『やっぱり、そうなんだな~。紅葉、嘘つけない性格だもんな。』
言い方にちょっとイラッとしちゃったのは、ここだけの話ね。」
テヘペロするクレハ。

「ゴメン。」
私が夏越クンに秘密にしたせいで、クレハに迷惑かけてしまった。
「ひなたが悪いわけじゃないわ。ただ単にあの男と相性が悪いだけよ。」
それも、どうなんだろう。

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