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夢見るそれいゆ 100

拝殿に向かうと、御葉様が立っていた。
参拝している人はいるものの、彼女は私にしか見えていないようだった。

「ひなた殿、お久しぶりです。話したいことがあるので、私達の周りだけ『空間を別』にしました。」
八幡宮の精霊の中でも、一番格上の御葉様。そんな離れ業も出来るのかと驚いた。

「まずは、八幡神さまにお参りを済ませてください。」
御葉様に促され、私は願いを述べた。

「八幡神さま、どうか千夏さんが無事に見つかりますようお願い致します。」

すると、拝殿の奥から蛍ぐらいの大きさの光が私の目の前にやって来た。

「ひなた殿、『それ』を受け取ってください。」
御葉様に言われ光に手を差しのべると、光は私が前に御葉様に頂いた銀杏の飾りが付いた鈴の御守りに変わった。
私のものは黄金色だけど、これは銀色である。

「話したいことというのは、貴女が以前闇に飲まれかけた様に、千夏さんも闇に飲まれてしまってる可能性があるということなのです。」
私は耳を疑った。

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