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夢見るそれいゆ 28

私は体を起こした。
差し出されたコップの中身は、ホットミルクだった。
「体、冷えてるだろ?これ飲んで、温まりな。」
私は黙って頷くと、コップを受け取った。
「温かい…。」
ホットミルクも夏越クンも。

「ひなた鍵持ってなかったから、ひなたのウチじゃなくて俺んちに連れてきたんだよ。
仕事中のあおいさんに連絡して、あおいさんに着替え頼んだんだよ。さすがに俺が脱がすわけにはいかないし。」
あぁ、ママにも迷惑かけちゃった。

「なぁ、ひなた。何があったか、聞いてもいいか?」
夏越クンが心配そうに、私を見つめている。

「私…、ちなっちゃんに絶交されちゃったの。」
私は事の顛末を説明した。
「…つまり、ひなたはその子の痛い所を突いてしまった訳だ。」
「痛い…所?」
「その子にとって向き合いたくない現実って事さ。國吉を諦める為に違う男と付き合っているのに、ひなたはそこを否定してしまったんだよ。」
そんなつもりで言った訳じゃなかった。
私は、ちなっちゃんに自分に素直になって欲しかっただけなのに。

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