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ぴえん充電【毎週ショートショートnote】

毎週ショートショートnote、「ぴえん充電」にチャレンジしました。
落語みたいなかんじで読んでいただけると幸いです。


時は江戸文化が最高潮に花咲いていた頃。

人々は浮世絵と算術に夢中になり、長屋の前では朝顔などを育てるのが流行であった。

「ねえ、お前さん。ぴえん充電って知ってるかい?」
「何だい、藪から棒に。
充電ってぇ言うと、あれかい?
『えれきてる』のことかい?」

えれきてるとは江戸時代に発明したとされる、発電機のことである。

「人様の涙がえれきてるで出たっていう電気を
ためることが出来るんだって。」
「ほほう。そんでたまったら何か役にたつのかい?」
「…さあ、あたいに聞かれてもねぇ。」

スマホはおろか、家の灯りも油でともす時代。
庶民が電気が何に使えるのか知るはずもない。

江戸城内では、元禄の頃に増えすぎたお犬様をぴえん充電に使えないか画策していた。

「今は微力な雷しか起こせぬが、この力をためて幕府を脅かす輩を一網打尽にしてくれるわ。」
大老が高笑いした。

餌代で財政が傾いたのは言うまでもない。

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