君に贈るランキング【毎週ショートショートnote】

僕は明日、この世を去るらしい。
入院している病室に、白い羽の死神がやって来た。

「お前が心残りに思っている事のベスト3を述べよ。お前がこの世を旅立つ時に、叶ったこととして走馬灯で流してやる。」
さすが神、かなり偉そうな口振りである。

「…じゃあ3位は、『夏に花火を観れなかった事』かな。」
「ほう、何故それを選んだ?」
死神が尋ねた。
「好きな子と…むかし約束したんだ。浴衣を着て、一緒に花火を観ようねって。」
僕はあの子の笑顔を思い浮かべた。

「では、2位は何だ?」
「2位は…その子に告白出来なかったことかな…。」
ずっと好きだったのに、とうとう伝えられないままになってしまった。
「ふん、それは残念だったな。」
死神にとってはどうでも良さそうだった。

「では1位は何だ?」
「1位は花嫁になったその子に『おめでとう』が言えなかった事だ。」
どうかお幸せに。僕は心から願った。

次の日、死神の約束通り、僕は走馬灯を見ながら星になった。


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