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紫陽花の季節、君はいない 5

柊司が用意した朝食は、栄養と消化に配慮して野菜をペースト状にしたお粥だった。
まだ温かいそれを食べたら、身体が温まってきた。自分がとても冷えていたことを自覚した。

この日もオンライン授業があったのだが、柊司が俺の部屋の鍵を持っていってしまったので、欠席することになってしまった。

食べ終わった食器を洗ったら、することが無くなってしまったので、俺はソファーで寝ることにした。

(同じアパートなのに、俺の部屋とは匂いが違うんだな。
何ていうか、幸せそうな雰囲気だ。)
そんなことを思いながら、眠りに落ちた。

俺の実家は、幸せな家庭とは程遠かった。
実母は俺を産んですぐに亡くなった。
父は俺のことに関心がなかった。
母親の従妹でもある義母とは、折り合いが悪かった。
弟もいたけど、義母が近寄らせなかったから良く知らない。
実家に俺の居場所は無かった。

「彼女」と出逢って、やっと居場所を見つけたと思ったのに──

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