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紫陽花の季節、君はいない 59

「夏越、裏道にあるケーキ屋行ったのか。あそこのケーキ、旨いんだよな~。あっ、俺レアチーズケーキな。」
柊司はとっくにケーキ屋があることを知っていたのか。
俺は残りのチョコレートケーキになった。

「夏越くん、早速プレゼントしてくれたバレッタ着けてみたわ。」
バレッタはあおいさんの髪の毛を華やかにまとめていた。
「おっ、似合うじゃないか!」
「柊司くん…。」
夫婦同士で見つめ合いが始まってしまった。

誕生日パーティーは、とても盛り上がった。
あおいさんも笑っていたし、柊司もその様子を見て嬉しそうだった。

ただ、紫陽もこの場にいたら良かったのにと俺の心の奥底で燻る思いがあった。

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