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紫陽花の季節、君はいない 35

御葉様は、まるでスマホのメールを読んでいるような表情で鈴を眺めていた。
「夏越殿、これはただの夢ではないと八幡神様が仰っています。貴方達が再会することを本気で願っている人間がいると。」
そういえば、御葉様は八幡神様の声を聞くことの出来る唯一の精霊だと紫陽が以前に言っていた。

「しかし…御葉様、たった今夏越はその者に会ったことがないと申したばかりでは。」
「涼見。その人間はおそらく夏越殿がこれから出会うのでしょう。」
「では御葉様、その者は時空を越えるほどの縁で繋がっているということですか。」
「はい。」
御葉様と涼見姐さんの会話は俄に信じられるものではなかった。
未来の人間だなんて、SFじゃあるまいし。

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