紫陽花の季節、君はいない 39
実は俺はあおいさんから先月の30日に誕生日プレゼントをもらっている。
今日面接に締めていった紫陽花ブルーのネクタイである。
「夏越くんの魅力が面接官に伝わる御守りよ!
色は柊司くんと一緒に選んだから、似合うこと間違いないわ。」
この夫婦は本当に俺のことをよく見ている。
このネクタイを締めるようになってから、面接で上がることが少なくなった。
今日の面接も、面接官が苦手だったはずの女性だったのに落ち着いて話すことができた。
だから俺もあおいさん本人をよく見て選ぶべきと思い至った。
「…あおいさんが使ってくれそうなものかぁ。」
あおいさんの姿を思い浮かべてみる。そういえば、以前と比べてだいぶ髪の毛が長くなってきた。
「髪の毛をまとめるアイテムがいいかもしれない。」
俺はパールとキラキラしたビーズが編み込まれたバレッタを選んだ。
店員に包装してもらっている間、去年紫陽が、俺からプレゼントされたあじさいまもりを、涼見姐さんにかんざしにリメイクしてもらっていたことを思い出した。
参考にならないなんて思ってごめん、紫陽。
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