見出し画像

夢見るそれいゆ 31

喉が渇いたので、夏越クンを起こさないよう、そうっと台所に行って水を飲んだ。

テーブルの上におにぎり2個とメモが置いてあった。
パパの字で、「元気が出るようにおにぎり握ったので、きちんと食べること!それと、ママの妹は6/30の夕方に来ることが決まったので、夏越に伝えといた。」と書かれていた。

ママのきょうだいは女性なのか。
どんな人なのだろう。
外国人のハーフって聞いてるけど、少しはママに似ているのかな。
仲良くしてくれるかな。
今日の出来事が出来事だけに、人が怖い。

落ち込んでいてもお腹は空く。
私はパパの作ったおにぎりを食べた。
「わ…酸っぱ~い!!」
中には大きな梅干しが入っていた。

パパがこないだM駅のお店で地元産の梅干しを買ってたのを思い出した。
確か、一緒に納豆も買ってたはず。
まさか、もう一つは納豆おにぎり?
恐る恐る、もう一つのおにぎりを割ってみると、そちらはシャケだった。

「あはは。パパ、ちょっとだけ元気出たよ。」
夏越クンに、ママやパパ。
私の周りには、こんなに私を大切にしてくれる人がいる。
温かい涙が頬を伝った。

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。