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紫陽花の季節、君はいない 60

8月初旬、面接先から採用の連絡が来た。
俺は真っ先にあおいさんに報告した。
「夏越くん、おめでとう。」
あおいさんはとても喜んでくれた。
「柊司とあおいさんが誕生日にくれたネクタイが、面接中に心の支えになったんだ。
ありがとう。」
俺は心の底から感謝を伝えた。
あおいさんは照れながら、
「夏越クンの努力もあったからよ。」
と言った。
「今度は私も頑張るわね。」
あおいさんは、はち切れんばかりの大きさになったお腹を笑顔で撫でた。

あおいさんの出産予定日は8月24日である。
俺は平日は出来る限りあおいさんの補助をし、休日は柊司と赤ちゃん服やベビーカーなどを買いに行った。

「夏越、とうとう俺は父親になるんだなぁ。」
柊司は買い物帰りに寄ったファミレスで、コーヒーを飲みながら感慨深く呟いた。

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