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夢見るそれいゆ 97

交差点から5分程歩いて、八幡宮の鳥居前に着いた。
ちょうどアイスを食べ終わったので、鞄の中に空の袋をしまおうとしたら、
「ひなたさん、家のゴミ箱に捨ててくるよ。」
と國吉先輩が手を差し出した。

「あ、じゃあお願いします。その間に、私は拝殿で参拝してきます。」
私は先輩にアイスの袋を手渡した。

先輩が家に入ったのを見計らって、私は紫陽花の森に行った。
「クレハ~、いる?」
私は、親友である精霊の名前を呼んだ。

「ひなた、見てたわよ~。國吉といつ付き合い始めたの?」
「クレハのイジワル~!付き合ってなんかいないよ。私が夏越クンのこと好きって知ってい…」
私は昨日、夏越クンの唇を奪ってしまったことを思い出した。
昨日は罪悪感でいっぱいだったけど、時間が経った今は恥ずかしさが勝ってきた。

「あら?ひなた、顔が赤くなったわよ。」
「き…気のせいだよ。」
私は必死に誤魔化した。

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