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夢見るそれいゆ 66

「でも私は自分の意識していないうちに、ある人を異性として見始めていたんです。
それは、学校の外で出来た親友に指摘されて気付きました。
しかし、私はそれを認めたくはありませんでした。
彼にとっての私は親友の子どもで家族のような関係で、彼には長年行方不明の恋人がいる…。
女でなく子どものままでいればずっと一緒にいられると思ってました。」
更紗先輩の眉が少し動いた。
私は更に話を続けた。

「子どものままでいようと思っていたのに、こないだの金曜日に國吉先輩に告白されて、怖くなったんです。
私を女として見ている人がいる。私は子どものままでいたいのに。
恋は、友情を壊し、家族のような人への関係も壊そうとしている。
私は逃げました…國吉先輩だけじゃない、自分のことからも──。」
私はいつの間にか、泣いていた。
逃げた私に泣く資格なんて無いのに。

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