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夢見るそれいゆ 68

学校帰りに八幡宮に寄った。
今日は天気も良く、7月初めだから夕方でも明るい。

私はクレハに会う前に拝殿にお参りをした。
「どうか私が良い方に変わっていけますよう、見守っていて下さい。」
涼しい風が私をやさしく撫でていった。

紫陽花の森に行くと、いつもより花が生き生きと咲いていた。
今日は、散策を楽しんでいる人も多い。

「ひなた~、褒めて~!!」
クレハがご機嫌にハグしてきた。
「クレハ、夏越クンにちゃんと謝れたんだね。」
「そうなの~!紫陽にやっと会えたからね。」
「まさか紫陽が、ママの異母妹として生まれ変わってたとは思わなかったよ。」

クレハが紫陽花の精霊『紫陽』と私を人違いしたのが、私達の出会いだった。
あの時には、まさか紫陽の生まれ変わりと私に血縁があるなんて夢にも思わなかった。

「紫陽…ゆかりちゃん、今日国に帰っていったよ。9月からはこっちに住むからいつでも会えるようになるよ。」
今日は、このことを報告しに来たのだ。
「そうなの?楽しみだわ~!」
悲しそうだったクレハも、もういない。

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