夢見るそれいゆ 33
昇降口にちなっちゃんがいた。
「おは…」
私は挨拶しようとしたけど、完全に無視された。
想定内とはいえ、心が痛い。
休み時間になると、ちなっちゃんは何処かへ行ってしまう。
話し掛ける隙を与えてくれない。
そんな感じで、放課後になってしまった。
私は、最終手段「部活先に押し掛け」た。
私の所属する手芸部は、文化祭でずっと忙しかったので今日は休みである。
ちなっちゃんはバスケット部なので、体育館に絶対来る。
私は体育館の入口で待ち伏せた。
数分後、ちなっちゃんがやって来た。
ちなっちゃんは私を見るなり、
「あー、しつこい。いい加減にして!」
と突き飛ばした。
私はしりもちをついたが、彼女はお構い無しにその場を去ろうとした。
私は、もう友達関係を修復出来ないことを悟った。
「ちなっちゃん、ゴメン。
もう私話し掛けないから、最後に言わせて。」
ちなっちゃんが立ち止まった。でも、振り返ってはくれない。
「私、無神経でゴメンね。
でも、私は自分の気持ちに嘘はつけない。
ちなっちゃんにも、自分の気持ちに素直になって欲しかっただけなの。」
私は涙が出そうなのを堪えた。
「今まで友達でいてくれてありがとう。大好きだったよ。さようなら。」
ちなっちゃんは、そのまま体育館の中に入っていってしまった。
私は悲しくてしばらく立ち上がれなかった。
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