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夢見るそれいゆ 185

更紗先輩と私は学校を出て、バス停二つ分ほど歩いた。
着いた先はお寺だった。
八幡宮の紫陽花の森に負けないぐらい、紫陽花の庭園が見事である。
檻には孔雀がいて、ちょうど羽根を広げているところだった。

「ひな、ようこそ我が家へ!」
「え?まさか、更紗先輩の家なんですか?」
「そうだよ。びっくりした?」
「は…はい。」
神社の息子の従妹がお寺の娘ということよりも、更紗先輩から仏教のイメージがまったく感じられないことが驚いた理由だった。

「まあ、うちに上がってってよ。」
先輩は寺務所の隣の建物を指差した。
私はパパからこないだ「遅くなる時は連絡を入れろ」と言われたことを思い出した。
「先輩、ちょっと親に連絡しても良いですか?」
「うん、その方が良いね。」
私は家族のグループLINEに「更紗先輩の家に寄って帰る」とメッセージを送った。

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