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紫陽花の季節、君はいない 50

いくら「言いたくないことは言わなくて良い」といっても、黙って避けるようなことをされたら悲しいに決まっている。

紫陽が生まれ変わる為に精霊として死ぬことを言ってくれなかった時、俺は「何で言ってくれなかったんだ」って思っただろう?

紫陽と違って、柊司もあおいさんもまだ俺の前にいる。俺の気持ちを伝えられる。すべてを話す訳にはいかないけれど、聞いてもらいたい。
これからの為に──

「柊司…あおいさん…
俺が今から話すことは、二人を不快にさせてしまうかもしれない。
だけど、聞いて…くれないか?」
俺は少し声が震えてしまった。

二人はお互いを見てから、俺の方に向いた。
「おう、話せ。夏越の話なら不愉快だろうが愉快だろうが聞くぞ!」
柊司の言葉に合わせて、あおいさんが小さく頷いた。

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