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紫陽花の花言葉 11

店内に戻ると、兄は運ばれてきた料理を食べずに待っていた。

「兄さん、先に食べてくれて良かったのに。料理、冷めちゃったんじゃないの?」

「せっかく清明と食事するんだ。俺は一緒に食べたかったんだ」
兄の眼差しは優しく澄んでいた。

はじめての兄との食事は、言葉少ないが穏やかな時間だった。本当はずっとこんな風に兄と向かい合いたかったのだ。

食事を終え、俺たちは病院に戻った。消灯時刻はとっくに過ぎていたので、病室は暗くなっていた。俺はベッドライトを着けた。父のベッドサイドモニターの波形は弱々しいものの安定していた。

兄は横たわる父の横に丸椅子を出し、座った。

「清明、ずっと眠れていないんだろう?お父さんは俺が見てるから、眠っていて良いよ」

俺は簡易ベッドを広げ、寝そべった。兄は眠る父の顔を濡れたタオルで拭いていた。もっと兄の姿を見ていたかったのに、いつの間にか俺は眠りに落ちていた。

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