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夢見るそれいゆ 88

ママから返ってきた答えは、私にとって意外なものだった。

「ひなちゃんにとって──ゆかりちゃん…精霊の時は『紫陽』だったかしら、彼女を想う夏越くんが彼そのものなのよね。変ではないわよ。」
「ママ、私こんな想い間違ってるって言われると思った。」
「恋をすること自体は悪いことではないわよ。母親としては略奪愛はオススメしないけど。」
何だろう、ママが珍しく頼もしく感じる。

ママがじっと私を見つめた。
「ひなちゃん、夏越くんがゆかりちゃんを好きだからといって、貴女がゆかりちゃんの存在に劣っているとか思ってはダメよ。」
私は図星を突かれて、ドキッとした。
「何で分かるの?」
「ひなちゃんの話し方が、どこかゆかりちゃんに遠慮した口ぶりなんだもの。」
ママがフフッと笑った。

「ひなちゃんの夏越クンへの想いだって尊いと私は思うわ。」

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