![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69904491/rectangle_large_type_2_c004716327fc409ecb8be349078f1687.jpg?width=800)
紫陽花の季節、君はいない 62
俺はこないだ実家に就職先が決まったことを連絡した。
家の固定電話にかけたので、まず家政婦さんが電話を受けた。(義母が電話に出る心配がないので、とてもありがたい。)
父に替わると、「…そうか、良かったな。」とボソッと言った。
そして大学院卒業までは仕送りを続けると事務的な話をして、父は電話を切った。
電話が終わってから、俺はどっと疲れた。
俺に無関心な父は、けっして向こうから連絡をしてこない。
携帯電話を持っていることは知っているが、携帯の番号もメールアドレスも知らない。
目の前で子煩悩宣言をした柊司は、俺の父とは真逆のタイプである。
生まれてくる赤ちゃんも、惜しみない愛で育てるだろう。
親に可愛がられたことのない俺は、はたして柊司とあおいさんの赤ちゃんを可愛がることが出来るのだろうか?
読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。