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夢見るそれいゆ 1

私がとてもとても幼い頃、パパの親友の夏越クンがお昼寝の時間によく話してくれた。

「俺と八幡宮に住む紫陽花の精霊は恋人だったんだよ。
彼女は八幡宮の外に出ると消えてしまう決まりだった。
俺と一緒にいる為に、彼女は人間に生まれ変わる決心をしたんだ。
夏至の日食の日、精霊としての彼女は死んでしまった。
俺は、彼女の生まれ変わりをずっと探しているんだ。」

おとぎ話の様に語る夏越クンが、私は好きだった。

「パパやママには内緒だよ、ひなたちゃん。」

夏越クンと彼女がまた会えるといいなーと思いながら、私は眠りについたものだ。

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