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夢見るそれいゆ 140

(國吉先輩って、そんな表情になるんだ。
また、新しい発見。)

「ひなたさん、顔がにやけてる。」
先輩が赤い顔のまま拗ねている。
「あ、すいません。」
私は真顔になるよう努めた。

「でも、何でだろう。ひなたさんには、格好悪いところばかり見せてしまっているね。」
普段しないであろう、大遅刻という失態をしてしまったことで、先輩はかなり落ち込んでいる。
確かに学校の國吉先輩は、完全無欠に見える。
だけど──

「國吉先輩。完璧な先輩よりいろんな表情を見せる今のような先輩の方が魅力的ですよ。
少なくとも、私はそう思う。」
私がそう言ったら、先輩は思いっきり私の顔をそらしてしまった。

「──ひなたさん、その言葉可愛すぎます。」
先輩の言葉に、何故か私の方まで顔が熱くなってしまった。

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