夢見るそれいゆ 27
私は豪雨の中、傘も差さずにふらふらと帰り道を歩いていた。
いつも乗っているバスが何度も私を追い越していく。
制服が雨を吸い纏わり付き、スニーカーはぐしょぐしょ音をたてている。
頭がぼうっとするし、足取りがどんどん重くなっていく。
とうとう道端に座り込んでしまった。
様々な色の傘の群れが流れ過ぎていくのを、ぼんやりと眺めていた。
意識が閉じていくなか、私のよく知っている人が私の名前を呼んだ。
ゆらゆら、ゆらゆら。
壊れ物をいだくように、私は運ばれていく。
──目を覚ますと、そこは夏越クンの寝室だった。
でも、私は家にあるはずの自分のパジャマを着ている。
何もかも、訳がわからない。
だって、今日は文化祭だったのに。
だって、朝はとても楽しかったのに。
だって、ちなっちゃんと私は友達だったのに。
だって、私は自分の正直な気持ちを言っただけなのに。
だって、だって…。
溢れ出してしまった涙はもう止まらず、枕を濡らしていく。
コンコン。ノックをする音。
「ひなた、起きたか?入るぞ。」
夏越クンが湯気のたっているコップを持って、入ってきた。
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