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紫陽花の季節、君はいない 4

しばらくして、柊司が病室に入ってきた。
「夏越~!お前何回空腹で倒れるんだよ~!」
と、男泣きされた。
ちなみに空腹で倒れたのは、2回目である。

俺は一晩点滴を打って、翌朝退院した。
タクシーを降りて、アパートの自分の部屋の前に辿り着くと、柊司が仁王立ちしていた。
(柊司はガタイが良いので、本当に仁王かと思った。)

「また倒れられたら嫌だから、しばらくウチに泊まれ!」
と、俺の部屋の鍵を引ったくって柊司は出勤していった。

俺は自分の部屋に入れないので、仕方なく柊司の部屋に入った。
「夏越くん、お帰りなさい。」
出勤前のあおいさんが、出迎えてくれた。

「柊司くんが、栄養たっぷりの朝食とお昼を用意したから、ちゃんと食べてね。絶対よ!」
あおいさんはそう念押しして、仕事に向かった。

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