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紫陽花の季節、君はいない 49

「あおいさんを俺が嫌う?何でだ?」
はじめの頃は女の人というだけで苦手意識はあった。
だけど、いつもあおいさんは親切にしてくれているのに、俺が嫌う理由なんかない。

「あの日…私が無理にお腹を触らせたりしたから、夏越くん不愉快になったんでしょう?
あれから夏越くん、柊司くんや私を避けるようになったから…。
本当は、夏越くんの誕生日プレゼントも受け取ってもらえないかもって不安だったの。」
あおいさんは苦笑した後、俯いてしまった。

俺はこないだの誕生日のあおいさんの様子を思い返した。
プレゼントを渡された時、あおいさんはいつもより語気が強かった。
あれは俺が不安にさせていたのか。

「あおいさん、ごめん…。
決して二人が嫌いになって避けていたんじゃないんだ。」
「じゃあ、何で避けるようなことしたんだよ。」
柊司がじぃっと俺を睨んでいる。

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