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紫陽花の季節、君はいない 43

柊司が料理をしている間に、俺は洗顔と着替えを済ませた。
折れてしまったかんざしは、ハンカチで包んでデスクの引き出しにしまった。

デスクの上に置いていたあおいさんへのプレゼントに目を向けた。
そうだ、柊司に渡してもらおう。
俺はプレゼントを持って、キッチンに向かった。

「おう、今出来たところだ。
盛り付けるから、ちょっと待ってろ!」
昨日が余程楽しかったのか、柊司は鼻唄まじりに盛り付けた料理をテーブルに並べていった。
俺は柊司に冷たいお茶を出してやった。

「いただきます。」
俺は茄子の味噌汁から口をつけた。
「…旨い。自分で作ると味が安定しないんだよな。」
「夏越、具によって味噌の分量を変えるんだよ。ワカメみたいにしょっぱいのと、豆腐みたいに水分含んでるのは、特に気をつけろよ。」

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