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夢見るそれいゆ 168

「前にお付き合いしていた彼に閉じ込められていたの?」
ゆかりちゃんが聞き返した。
「うん…。信じたくなかったけど。」

ちなっちゃんは國吉先輩が好きだった。
だけど先輩と自分は釣り合わないと言って、ちなっちゃんに告白してきたその彼と付き合っていたのだ。
私と絶交している間にお別れしたと、更紗先輩から聞いていたけど…。

「…どうして?好きだった人を苦しめるようなこと出来るの?」
憤っていた気持ちをゆかりちゃんに吐露した。

「…私にも分からない。
私はナゴシや八幡宮のみんなに笑っていてほしいよ。
私が消えてしまっていた間、悲しませてた分も。
でも、もしかしたらその人は彼女に居なくなられるのが怖かったのかもしれないね。」

私もちなっちゃんに去られた時は、とても怖かった。
それでも、ちなっちゃんを苦しめようとは思わなかったよ。

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