hollyhock 13

「俺…あおいさんにはじめて会った時、唐揚げのパックあげたじゃないっすか。
元気無かったのが、『ありがとう』って微笑んでくれたのが嬉しくて。
あおいさんにもっと喜んでもらいたいなーって。
何でだろう…あぁ、これが好きって事かって気づいたんっす。」

私は、柊司くんが話す言葉をドキドキしながら聞いていた。

「あおいさん…急に抱きついてすいません。
でも、俺…あおいさんに好きになって欲しい!」

私は合わせていた手をほどいて、抱き締められている柊司くんの背中に手を回した。

「もう…私、とっくに柊司くんの事好きよ。
柊司くんが私の名前を呼んでくれた時、すごく嬉しかった。
私…親に殆んど名前を呼ばれなかったから、自分の名前嫌いだった。
柊司くんが私を呼ぶ時は、自分の名前すら特別な価値があるものに思えたの。」

「俺ら、両想いだったんすね。」
「うん。私の片想いだと思ってたから、とても嬉しい。」

私達は見つめ合った後、自然に唇を重ねた。

ピーピーピー。
洗濯機の終了ブザーが鳴った。

私達は我に返り、照れ臭くて笑ってしまったわ。

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。