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夢見るそれいゆ 93

私は何故、國吉先輩に想われているのだろうか。
先輩に親切にした覚えもないし、こないだ告白された時には全速力で逃げた。
今、はじめてこの人のことを知りたいと思った。

「心当たりがないなら、もう帰っていい。改めて気づいたことがあったら、ここに連絡するように。」
県警の人が、私達に名刺を差し出した。

「…あの、ちなっ…千夏さんを早く見つけて下さい。絶交されてしまったけど、私にとっては…やっぱり『親友』なんです!!」
私は腹を括った。やっぱり私は、ちなっちゃんと仲直りしたい。このまま会えなくなるなんて、拒絶より怖い。

「仲直り、出来ると良いな。早く君の『親友』を見つけられるよう、県警は総力を尽くすから。」
意外にも、失礼だと思っていた大人に励まされてしまった。

そして私達は尋問から解放された。

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