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夢見るそれいゆ 5

「ひなちゃん、おはよー。」
教室に入ると、ちなっちゃんが挨拶してきた。
「おはよー、ちなっちゃん。」

ちなっちゃんこと千夏ちゃんは、入学式の日に仲良くなった女の子だ。
ちなっちゃんは、学校の近くに住んでいる。
そうだ、八幡宮について聞いてみよう。

「ちなっちゃん。朝ねー、バスの窓から八幡宮の大きな看板見つけたんだけど、どんな神社なの?」
「八幡宮?大通りから一本奥に入った所にある神社だよ。紫陽花の名所になってて、梅雨の時綺麗だよ~。」

紫陽花…。そうだ、夏越クンのお話に出てきた場所が八幡宮だった。
夏越クンと紫陽花の精霊が出逢った場所である。

「ひなちゃん、もしかして3年のクニヨシ先輩が気になるの?」
ちなっちゃんがニマニマしている。
「クニヨシ先輩って誰?」
はじめて聞く名前だ。
「えー、知らないの?生徒会長で入学式の時、挨拶してたでしょう?」
ちなっちゃんは呆れている。
「でも、何で八幡宮とクニヨシ先輩(?)が繋がるの?」
「クニヨシ先輩は八幡宮の宮司さんの息子だよ。私と同じ小学校出身なんだー。」

クニヨシ先輩は興味ないけど、八幡宮には行ってみたくなった。
紫陽花の精霊の彼女はいないと分かっているけど──。

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