目が合いました (朗読フリー)

ガチでした
今夜はちょっとだけ
やばいと思っていました

いつもならフツーに
闇討ちを仕掛けてくるから
適当にあしらって
河原で逆に仲良くなって
明け方にはバイバイって感じだったのが

今度の奴は
真新しいジャージで二日も前から
走り込みして来たって噂が
列島を駆け抜けて行きました
なんかやばい奴来たって
話の通じねー奴じゃないかって
内心ビビっていました

確かに遠くから目が合いました
負けねぇって
強く睨みつけました
いかちいなって思って
足が震えました

こっちも歳を取ったから
狩りの対象になったのかもって
腹を括って準備しました
風で飛ぶ物はないか
側溝にゴミが溜まっていないか
飲み水を貯めて
手を伸ばせば懐中電灯
持ち出し袋も
避難場所も確認しました
割れやすそうな窓は補強しました
守るってマジ大事って
微かにジーンとしたりもしました

万端整ったと思ったら
大きく進路を変えました
はーマジ何あいつ
俺はへたり込みました
でも損したとかは思いませんでした
守るってマジ大事

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