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俳誌を読む

『樹』『萌』『泉』『空』
ながさく清江先生から御恵送頂きました四誌を読む。

『樹』四月号 第351号
屋根替 丹波真一 代表
町内に伊勢ノ海部屋海老飾る 
朝東風や大樹をのぼる水の音
目薬の木を探しをり春の山
ぶらんこの雲蹴り上げる高さまで
春の炉やざうざうと鳴る屋敷林
風騒ぐ雛の調度の駕籠牛舎
大八の車輪立てかけ屋根替ふる

『萌』四月号 第316号
花の山  三田きえ子主宰
松は花仕立てて並木なせりけり
白粥に春のかたみの箸つかふ
法灯のほかはおぼろの山家の灯
木の芽風  伊藤康江副主宰
富士望む窓を拭きゐる東風の朝
天領の杜森閑と地虫出づ
磐座へ坂がかりたる木の芽風
図書館の静かに混みて春の昼

俳句雑誌『空』2024.2 109号 
母 柴田佐知子主宰
夏夕べ撫でつつ洗ふ母の足
年用意終へたる夜の机かな
初春の光へ母を連れ出せり
笹鳴きに母の昼餉の箸止まる
一族は同じ訛や牡丹鍋
臥す母へ種袋の絵見せて撒く

『泉』3月号593号
鬼打豆 藤本美和子主宰
神杉の葉をふりかむる初景色
雪吊や一朶の雲も寄せつけず
水分の水のかたへの冬菫
山房や鬼打豆をかくも打ち
 冬青空 井上弘美先生

獅子舞に爆ぜる夜明けの炎かな
送り出す白木の棺冬青空


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